足を伸ばす 体の横に手を垂れて 目を閉じる ねむろうとして自分の呼吸を聞いている かならず闇がおそいかかる夜というもの 夜 夜はかならずきて わたしはかならずねむったにちがいなかった 夜が来ればねむったであろう そして夜 ねむれぬままにも ねむったであろう 五十年の美しい昼と夜 一個の生きとし生きる者として 春の花 冬の雪にも お前はいたのか お前はいたのか お前は赤ん坊でもあったのか あのようにも美しい 桃のようでもあったのか いまねむろうとして 夜の闇が いま はじめて見るもののように冴えて来る