山裾を走る電車の窓からみた

紋入りに染め上げたおおいをかけ

ふたつの車に積みあげた嫁入り道具が

いま村の端を出かかったところを

春はやいくもり日が暮れかけていた

荷物は運ばれるのだ

うすぐらい物置き倉

古ぼけた姑の<ruby><rb>箪笥</rb><rt>たんす</rt></ruby>と並ぶために

生まれた家と親とが

この荷物を背負わせ

娘を押し出す

娘は　のろのろと家を出てゆく

荷物と娘と一束にして計量にかけ

むすめのいのちに手づけが打たれてしまった

荷物の中につめ込まれている

下落するヤミ米

税金の　のこりの金で

買いあつめ　手に入れた

チリメンの　人絹の紋つき　はおり

そして　積み込まれている

壁と　重石と　カビの生えた昔がたり

目をつぶし　ヒザをへし折る壁と　重石と　昔がたりと