一
我が肢は甘くたるみて
痛む頭もこゝろよし、
この頭くらく、めくるめくとき、
失ひし楽園は幻に見ゆ。
二
手はふるひ、足はよろめく
さながら、酔ひどれが
家路へかへるにも似て、
地獄の門に倒れ入らん。
三
滅びよ、滅びよ、いとしき我が身、
急げよ、たのしき地獄の門へ。
すべてのものゝ存在せざる
其処にこそ我が失ひし楽園はあれ。
めつぼうのよろこび
生田 春月
我が肢は甘くたるみて
痛む頭もこゝろよし、
この頭くらく、めくるめくとき、
失ひし楽園は幻に見ゆ。
手はふるひ、足はよろめく
さながら、酔ひどれが
家路へかへるにも似て、
地獄の門に倒れ入らん。
滅びよ、滅びよ、いとしき我が身、
急げよ、たのしき地獄の門へ。
すべてのものゝ存在せざる
其処にこそ我が失ひし楽園はあれ。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c生田 春月「滅亡の喜び」(新字旧仮名)、底本『日本の詩歌 26 近代詩集』中央公論社、1970年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 060964_000227, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079