台所は暗くものの焦げる匂ひがした。
前掛ばかり白い婦のひとは、
一日たわしのやうに濡れて汚なく、
一日叱られながら働き疲れ、
若さを洗濯板のやうに減らすのであつた。
夕暮いつも露路へ滲んでくる、
人脂を炙るやうな重いものは、
その人の生が乾いてゆく匂ひであつた。
じょちゅう
石川 善助
台所は暗くものの焦げる匂ひがした。
前掛ばかり白い婦のひとは、
一日たわしのやうに濡れて汚なく、
一日叱られながら働き疲れ、
若さを洗濯板のやうに減らすのであつた。
夕暮いつも露路へ滲んでくる、
人脂を炙るやうな重いものは、
その人の生が乾いてゆく匂ひであつた。
記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c石川 善助「女中」(新字旧仮名)、底本『日本の詩歌 26 近代詩集』中央公論社、1970年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 060918_001787, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079