空には
燃える秋の星がある。
地には天に向つて立つけやきがある。
葉の階層――剛い幹。年輪の多いあらい幹。
彼は、昼と夜、空間のひろがりの中で
思想である。流出である。
心に
不安がある。獣と共通な欲望がある。死を慕ふ憂欝がある。夢の記憶の破片がある。
全の感激に立ち上つて、それに交り込み
限界の輪廓を打ち砕きたい動律と火流とがある。
どこへ行くのか? 今それを思はない。
僕は
秋の夜の、目がぐらぐらするほどな
星の無数の穴を見上げて立つ。
一つの胸が、自分にある。
くらいじかんに
片山 敏彦
空には
燃える秋の星がある。
地には天に向つて立つけやきがある。
葉の階層――剛い幹。年輪の多いあらい幹。
彼は、昼と夜、空間のひろがりの中で
思想である。流出である。
心に
不安がある。獣と共通な欲望がある。死を慕ふ憂欝がある。夢の記憶の破片がある。
全の感激に立ち上つて、それに交り込み
限界の輪廓を打ち砕きたい動律と火流とがある。
どこへ行くのか? 今それを思はない。
僕は
秋の夜の、目がぐらぐらするほどな
星の無数の穴を見上げて立つ。
一つの胸が、自分にある。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c片山 敏彦「暗い時間に」(新字旧仮名)、底本『日本の詩歌 26 近代詩集』中央公論社、1970年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 060911_001539, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079