心の<ruby><rb>嵐</rb><rt>あらし</rt></ruby>が今去つたところだ

熱い嵐の中で、つめたい心がこゞえて

獣になつて魂の野を

走りまはつてゐた。

火に<ruby><rb>烙</rb><rt>や</rt></ruby>かれながら、一つの氷が

曇り日の天に向つて叫んだ。

心の嵐が今去つたところだ。

疲れた氷の火が静かにとけて

秋の曇り日の天の下に

春のやうなひかりを感じる。

やつと見つけたお母さんの乳房に

泣きじやくりながら、かじりつく赤ん坊に

私のこゝろは似てゐると思ふ。