Soranoha

にいさんと妹

にいさんといもうと

グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール、グリム ヴィルヘルム・カール

にいさんが妹の手をとって、いいました。

「おかあさんが死しんじゃってから、ぼくたちには、いいことって、ただの一時間もないねえ。こんどのおかあさんたら、まい日まい日、ぼくたちをぶつし、そばへいけば、足でけとばすんだもの。それに、ぼくたちの食べものといえば、食べのこしの、かたいパンのこばだろう。テーブルの下にいる犬のほうが、ぼくたちよりゃずっとましだよ。おかあさんは、ぼくたちにゃくれなくったって、犬にゃ、ときどき、うまいものをほうってやってるもの。死んだおかあさんがこんなことを知ったら、それこそたいへんだよ。ね、ひろい世よのなかへ、ぼくたちでていこうよ。」

ふたりは、一日じゅう、草原くさはらや、畑や、石っころの上を歩いていきました。雨がふってきますと、小さい妹は、

「神かみさまと、あたしたちの心がいっしょになって、泣ないてるのねえ。」

と、いいました。

日がくれるころ、ふたりはある大きな森のなかにはいりこみました。ふたりは、心配しんぱいなのと、おなかがへったのと、長いあいだ歩いたのとで、すっかりくたびれていました。それで、とある木のうろのなかへはいりますと、すぐにねいってしまいました。

あくる朝、ふたりが目をさましたときには、お日さまはもう高くのぼっていて、木のうろのなかまで、かんかんさしこんでいました。そのとき、にいさんがいいました。

「ねえ、ぼくはのどがかわいちゃったよ。泉いずみのあるところがわかりゃ、いってのんでくるんだけどなあ。おやっ、なんだかさらさらいう水音がきこえるようだよ。」

にいさんは立ちあがって、妹の手をとりました。ふたりは泉をさがしにいこうというのです。

ところが、あのわるいまま母というのは、じつは、魔法使まほうつかいの女だったのです。ですから、ふたりの子どもがにげだしたことも、もうちゃんと知っていて、気がつかれないように、そうっとふたりのあとをつけてきていたのでした。

魔法使まほうつかいの女というものは、みんな、そんなふうにそうっと歩くものなのです。そして、この女は、森のなかの泉いずみという泉に、魔法をかけておいたのでした。

ふたりは、小石の上まできらきらわきでている泉を見つけました。まず、にいさんがそれをのもうとしました。ところがそのとたんに、さらさらいっている水音のなかから、

わたしの水をのむものは トラになる

わたしの水をのむものは トラになる

という声が、妹の耳にきこえてきました。妹はあわててさけびました。

「おねがい、おにいさん。のんじゃいけないわ。のむと、おにいさんはおそろしいけだものになって、あたしを八つざきにしてしまうわ。」

にいさんは、のどがひどくかわいていましたけれども、がまんして、その水をのみませんでした。そして、こういいました。

「このつぎの泉いずみまで待まつことにするよ。」

ふたりが二ばんめの泉にきますと、この泉も、

わたしの水をのむものは オオカミになる

わたしの水をのむものは オオカミになる

といっているのが、妹の耳にきこえました。そこで、妹は、また大きな声でさけびました。

「おにいさん、おねがいだから、のまないで。のむと、おにいさんはオオカミになって、あたしを食べちゃうわ。」

にいさんは、その水をのまないでいました。そして、こういいました。

「このつぎの泉いずみにいくまで待つよ。だけど、こんどはおまえがなんていったって、のむからね。もう、のどがかわいてかわいて、たまらないんだ。」

やがて、ふたりは三ばんめの泉にきましたが、こんどもまた、妹の耳には、さらさらいう水音のなかから、

わたしの水をのむものは シカになる

わたしの水をのむものは シカになる

という声がきこえてきました。妹は大声にいいました。

「ああ、おにいさん、おねがいだから、のまないで。のむと、おにいさんはシカになって、にげていっちゃうわ。」

けれども、にいさんは、こんどはすぐにひざをつくと、かがみこんで、水をのみはじめました。水のしずくが、ほんのいくたらしか、にいさんのくちびるについたかと思うと、たちまち、にいさんは子ジカのすがたにかわってしまいました。

妹は、魔法まほうをかけられた、この気のどくなにいさんのことを思って、しくしく泣なきだしました。子ジカも泣きながら、かなしそうに、妹のそばにすわっていました。とうとう、女の子はいいました。

「じっとしていらっしゃいよ、子ジカちゃん。あたし、どんなことがあっても、あなたをすてやしなくってよ。」

女の子は、じぶんの金きんのくつしたどめをはずして、それを子ジカの首のまわりにかけてやりました。それから、トウシングサをむしりとって、それでやわらかいなわをあみました。

女の子はそのなわで、かわいい子ジカをゆわえました。そして、子ジカをひっぱって、森のおくふかくへはいっていきました。

それから、ふたりはずいぶん長いこと歩きました。とうとう、ふたりは、一軒けんの小さな家のそばにきました。女の子がなかをのぞいてみますと、家のなかにはだれもおりません。それで、女の子は、

(このうちなら、いつまでも住んでいられるわ。)

と、思いました。

そこで、女の子は、子ジカのために、木この葉はやコケをさがしてきて、やわらかい寝床ねどこをこしらえてやりました。

女の子は、まい朝、そとへでていっては、草の根ねや、汁しるのおおい実みや、クルミのようにかたい実を、たくさんあつめてきました。それから、子ジカには、やわらかい草をいっしょにとってきてやりました。子ジカはその草を女の子の手から食べると、大よろこびで、女の子のまえであそびまわりました。

日がくれるころには、妹はすっかりくたびれて、おいのりをすませますと、すぐに、頭をかわいい子ジカの背中せなかにのせました。子ジカの背中が、ちょうどまくらになるのです。そして、妹はそのまますやすやとねいってしまうのでした。これで、もしにいさんが人間のすがたでいてくれさえすれば、どんなにかたのしい生活せいかつだったことでしょう。

こんなふうに、にいさんと妹とは、ずいぶん長いあいだ、この荒あれ野ののなかに、ふたりきりでくらしていました。

ところが、あるとき、この国の王さまが、この森のなかで大きな狩かりをもよおしたことがありました。角笛つのぶえのひびき、犬のほえ声、狩人かりゅうどたちのたのしそうなさけび声が、木ぎのあいだにひびきわたりました。

子ジカはそれをききますと、そこへいきたくてたまらなくなりました。

「ねえ、狩かりにやっておくれよ。」

と、子ジカは妹にいいました。

「もうとてもがまんができないんだ。」

こういって、子ジカはいつまでもいつまでもたのみましたので、とうとう、妹も承知しょうちしてしまいました。

「でもね。」

と、妹はいいました。

「夕がたには、きっとかえってきてよ。らんぼうな狩人かりゅうどたちがはいってこないように、あたし、戸をしめておくわ。だから、おにいさんだってことがわかるように、戸をたたいて、妹や、いれておくれっていってちょうだい。おにいさんがそういわなければ、戸はあけなくってよ。」

子ジカは、そとへとびだしました。ひさしぶりに、ひろびろとしたところへでたものですから、子ジカはほんとうに気持ちがよく、うれしくってたまりませんでした。

王さまと王さまの狩人かりゅうどたちは、この美しい動物を見つけますと、すぐさまあとを追おいかけました。けれども、どうしても追いつくことができません。こんどこそだいじょうぶ、と思ったときには、子ジカはしげみをとびこして、どこかへすがたをけしてしまっていました。

あたりがくらくなったころ、子ジカは家へかけもどってきて、戸をたたいて、

「妹や、いれておくれ。」

と、いいました。

すると、すぐに戸があいて、子ジカはなかにとびこみました。そして、ひと晩ばんじゅう、じぶんのやわらかい寝床ねどこのなかでゆっくりやすみました。

あくる朝になりますと、また狩かりがはじまりました。子ジカは、ふたたび、角笛つのぶえのひびきや、ホウ、ホウという狩人かりゅうどたちのかけ声を耳にしますと、じっとしていられなくなりました。そして、

「ねえ、おまえ、あけておくれよ。ぼくはもう、そとへでないじゃいられないんだ。」

と、妹にいいました。

妹は戸をあけてやって、こういいきかせました。

「でも、晩ばんにはきっとかえってきてよ。そうして、あの約束やくそくのことばをいってね。」

王さまと王さまの狩人かりゅうどたちは、またまた金きんの首輪くびわをした子ジカを見かけますと、みんなであとを追おいました。けれども、子ジカがあんまりはやくて、すばしこいので、どうすることもできませんでした。

一日じゅうこうやって追いまわしていましたが、日がくれてから、やっと、狩人かりゅうどたちは子ジカをとりまくことができました。そして、狩人のひとりが、子ジカの足にちょっとした傷きずをおわせましたので、子ジカは足をひきずりはじめました。そして、まえよりもかけかたがずっとおそくなりました。

そのおかげで、ひとりの狩人かりゅうどが、子ジカのあとを、家までこっそりつけていくことができました。子ジカは家のまえまできますと、「妹や、いれておくれ」と、さけびました。そうすると、すぐに戸があいて、またもとのようにしめられました。狩人は、それをちゃんとじぶんの耳できき、じぶんの目で見とどけました。

狩人は、それをすっかりおぼえておいて、王さまのところへもどりました。そして、じぶんの見たことやきいたことを、のこらずお話ししました。すると、王さまは、

「あす、もういちど狩かりをすることにしよう。」

と、いいました。

ところで、妹は、子ジカがけがをしているのを見ますと、たいそうびっくりしました。それで、いそいで、子ジカの血ちをあらいおとして、薬草やくそうをはってやりました。そして、

「あなたのお寝床ねどこへいらっしゃい、子ジカちゃん。そうすりゃ、なおってよ。」

と、いいました。

けれども、けがはほんのかすり傷きずでしたので、子ジカは朝になると、もうなんともなくなりました。そのうちに、狩かりのさわぎがまたもやきこえてきますと、子ジカはいいました。

「もう、がまんができない。ぼくはいかなくちゃならないんだ。そんなにあっさりつかまりゃしないよ。」

すると、妹は泣なくなく、いいました。

「こんどこそ、みんなに殺ころされちゃうわ。そしたら、あたしは、こんな森のなかでひとりぼっちになって、だあれもかまってくれる人がなくなっちゃうのよ。あたし、おにいさんをだすのは、いや。」

「それじゃ、ぼくはかなしくって、ここで死しんでしまうよ。」

と、子ジカはこたえました。

「あの角笛つのぶえをきくとね、いても立ってもいられないみたいなんだ。」

妹も、こういわれては、どうしようもありません。いやいやながら、戸をあけてやりました。すると、子ジカは元気よく、うれしそうに、森のなかへとびだしていきました。

王さまは、子ジカのすがたを見かけますと、狩人かりゅうどたちにいいつけました。

「さあ、あれを、夜になるまで、一日じゅう追おいかけるのだ。だが、傷きずをおわせてはならんぞ。」

お日さまがしずむのを待まって、王さまはあの狩人にもうしました。

「さあ、いっしょにきて、わしにその森の小屋こやをおしえてくれ。」

王さまは小さな戸のまえにきますと、戸をたたいて、

「妹や、いれておくれ。」

と、大きな声でいいました。

すると、戸があきましたので、王さまはなかにはいりました。なかにはひとりの女の子が立っていました。ところが、その女の子の美しいことといったらびっくりするほどで、王さまも、いままでに、これほどきれいな子は見たことがありませんでした。

女の子は、子ジカではなくて、頭に金きんのかんむりをかぶった男の人がはいってきたものですから、すっかりびっくりしてしまいました。けれども、王さまは女の子をやさしく見ながら、手をさしのべて、いいました。

「わしといっしょに城しろへいって、妻つまになる気はないかな。」

「はい、そうさせていただきます。」

と、女の子はこたえました。

「ですが、子ジカもいっしょにつれていくのでなければ、いやでございます。あれをおいていくことはできません。」

すると、王さまがいいました。

「おまえの生きているかぎり、子ジカはおまえのそばにおくがよい。あれにもけっして不自由ふじゆうはさせぬ。」

そこへ、子ジカがとびこんできました。女の子は、またトウシングサのなわで子ジカをゆわえると、そのなわのはしをにぎって、子ジカをひっぱりながら、森の家からでていきました。

王さまは、この美しい女の子をじぶんの馬にのせて、お城へつれていきました。

お城しろでは、目もさめるほどりっぱなご婚礼こんれいの式があげられました。こうして、女の子はいまではお妃きさきさまになりました。

そして、王さま、お妃さまは、それから長いあいだたのしくくらしました。子ジカもみんなにたいへんかわいがられて、お城のお庭にわをとびまわっていました。

ところで、この子どもたちが、ひろい世よのなかへでていかなければならないようにしむけた、わるいまま母がいましたね。あのまま母は、妹は森のなかでおそろしいけものにくわれてしまい、にいさんのほうは子ジカになって、狩人かりゅうどたちに射殺いころされてしまったものとばかり思いこんでいました。ところが、そのふたりが、たいそうしあわせにくらしていることをききますと、まま母の胸むねのうちには、ねたましい気持ちがむらむらとわきおこってきました。そして、それからは、ちっともおちつくことができなくなりました。そして、どうしたら、あのふたりをひどいめにあわせてやれるだろうかと、そんなことばかり考えるようになりました。

まま母のほんとうのむすめというのは、まるで夜のようにみにくくて、目がひとつしかありません。このむすめがおかあさんをののしって、

「お妃きさきになる幸運こううんは、あたしにさずけてくれるはずじゃなかったの。」

と、いいたてました。

「まあ、だまっといで。」

と、まま母はこたえて、とくいそうにこういいました。

「時がくりゃ、ちゃあんと、あたしにうまい考えがあるのさ。」

そのうちに、お妃きさきさまは美しい男の子を生みました。

いっぽう、魔法使まほうつかいのまま母は、王さまが狩かりにでかけて、るすなのを見すましますと、侍女じじょのすがたになって、お妃さまのねているへやにはいっていきました。そして、まだからだのよわっているお妃さまに、

「さあ、おいでくださいまし。おふろのしたくができました。おふろはおからだのためによろしゅうございますし、力もおつきになります。さあさ、さめないうちに、おはやくどうぞ。」

と、もうしました。

むすめもそばにおりました。ふたりはよわりきっているお妃きさきさまを湯殿ゆどのにつれこんで、湯ぶねのなかにいれました。そうしておいて、ふたりは戸をしめると、さっさとにげてしまいました。

ところが、湯殿ゆどののなかには、ほんとうに地獄じごくのようにおそろしい火がおこしてあったものですから、美しいわかいお妃さまは、たちまち息いきがつまって、死しんでしまいました。

こんどは、まま母はむすめをつれていって、ぼうしをかぶせ、そうして、お妃さまのかわりにベッドにねかせました。そのうえ、まま母は、むすめにお妃きさきさまのすがた、かっこうまでもさずけました。

けれども、なくなったひとつの目だけは、どうしても、もとどおりにしてやることができませんでした。それで、王さまにこのことを気づかれないようにするため、むすめは目のないほうを下にしてねなければなりませんでした。

夕がた、王さまがお城しろにかえってきて、男の子が生まれたことをききますと、それはそれはよろこびました。そして、さっそく、お妃きさきさまの寝床ねどこのところへいって、どんなようすか見ようとしました。

ところがそのとたんに、まま母があわててさけびました。

「およしくださいませ。お寝床ねどこのカーテンは、おしめになっておいてくださいませ。お妃さまはまだ光をごらんにならないほうがよろしゅうございます。いまは、しずかにしていらっしゃらなければいけないのでございます。」

そういわれて、王さまはもどってきました。まさか、にせもののお妃がベッドにねていようなどとは、夢ゆめにも知らなかったのです。

ま夜中よなかごろになりました。みんなねしずまってしまいましたが、乳母うばだけは、子どもべやのゆりかごのそばにすわって、まだ目をさましていました。そのとき、ふと見ますと、戸があいて、ほんとうのお妃きさきさまがはいってきました。

お妃さまは赤ちゃんを両腕りょううでにだきあげて、お乳ちちをのませました。それから、小さなまくらをふるってふくらませますと、また赤ちゃんをゆりかごのなかにねかして、かわいらしいかけぶとんをかけてやりました。

お妃さまは子ジカのこともわすれませんでした。子ジカのねているすみのところへいって、やさしく背中せなかをさすってやりました。そうして、ひとことも口をきかずに、そのまま、もとの戸口からでていってしまいました。

〔図〕fig59637_01.png

乳母うばは、あくる朝、夜のあいだにだれかお城しろへはいってきたものはないかと、番兵ばんぺいにたずねてみました。ところが番兵は、

「いいえ、だれも見かけませんでした。」

と、こたえました。

お妃きさきさまは、こんなふうに、いく晩ばんもいく晩もやってきましたが、ひとことも口をきいたことがありませんでした。乳母うばは、いつもお妃さまがそうするのを見ていたのですが、思いきってそれをだれかにいう勇気ゆうきはありませんでした。

こうして、しばらくたったある晩のこと、お妃さまはこんなことをいいだしました。

ぼうや なにしてるの

シカちゃん なにしてるの

あたしがくるのは あと二度っきり

それで もうこられないのよ

乳母うばはお妃さまにへんじをしませんでした。でも、お妃さまのすがたがきえてしまいますと、すぐに王さまのところへいって、いままでのことを、のこらずお話ししました。

「ああ、なんということだ。今夜は、わしが子どものそばにおきているとしよう。」

王さまはこういいました。

その晩ばん、王さまは子どもべやにきました。すると、ま夜中よなかにお妃きさきさまがまたすがたをあらわして、いいました。

ぼうや なにしてるの

シカちゃん なにしてるの

あたしがくるのは あといちどっきり

それで もうこられないのよ

それから、いつものように、子どもの世話せわをして、すがたをけしてしまいました。

王さまは、思いきってお妃きさきさまに話しかける勇気ゆうきがありませんでした。でも、つぎの晩ばんもおきて、番ばんをしていました。すると、お妃さまはまたこういいました。

ぼうや なにしてるの

シカちゃん なにしてるの

あたしがくるのは 今夜っきり

これで もうこられないのよ

王さまは、もうこれいじょうがまんしていることができません。お妃さまにとびかかって、

「おまえは、わしの妻つまにちがいない。」

と、いいました。

すると、お妃きさきさまは、

「はい、あたくしはあなたの妻つまでございます。」

と、こたえました。

しかもそのとたんに、神かみさまのおめぐみで、お妃さまは生きかえりました。もとのようにいきいきとして、顔色もよくなり、じょうぶなからだになったのです。それから、お妃さまは王さまに、あのわるい魔法使まほうつかいの女とむすめとが、じぶんにたいしてやったひどいおこないのことを話しました。

王さまはふたりを裁判所さいばんしょにつれてこさせました。そこで、ふたりに罪つみがいいわたされました。

むすめのほうは森のなかにつれていかれ、おそろしいけもののために八つざきにされてしまいました。

魔法使まほうつかいの女のほうは、火のなかへねかされて、みるもむざんに焼やけ死しんでしまいました。そして、この女がもえて灰はいになったとき、あの子ジカはもとの人間のすがたにもどりました。

妹とにいさんとは、それからこの世よをさる日まで、しあわせにいっしょにくらしました。

底本 / Source edition

底本:「グリム童話集(1)」偕成社文庫、偕成社
1980(昭和55)年6月1刷
2009(平成21)年6月49刷
入力:sogo
校正:チエコ
2021年3月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

この表示について / About this rendering

記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.

リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/059637_001091/tei
プレーンテキスト / Plain text
/works/059637_001091/plaintext
書誌 / Bibliography
/works/059637_001091/

グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール、グリム ヴィルヘルム・カール「にいさんと妹」(新字新仮名)、底本『グリム童話集(1)』偕成社文庫、偕成社、1980年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 059637_001091, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite