Soranoha

TZSCHALLAPPOKO

TZSCHALLAPPOKO

菊池 寛

□北原白秋氏の出して居た雑誌の題「ザンボア」は誤つた発音で、実はザンボンと発音するのだ。之これで見ると昔からのザボンと云ふ方が正しい、なまじ字を知るは誤あやまりの初はじめだとは上田敏先生のお話。

□ショオの「アームス、エンド、マン」を腕と人と訳した人は論外だが、坪内先生監修の訳本に「武器と人」としてある、然しアームス、エンド、マンは古来よりの成語で「いくさと人」と訳すべきものださうだ。然しゴルスワーシイのジョイを「喜び」と訳す人もある世の中だからな。

□大阪には文芸同攻会と云ふものが起つた、読売に「母」を書いた石丸梅外氏などの発起で大おほいに関西芸術の振興に努めて大阪を英のダブリンにしようとする計画だ。

□京都の特色は犬の沢山居ることと理髪代の高いことと、場所が詩的なのに反して人間が散文的な事だ。僕は東京では五銭以上の理髪代を払つたことはない。

□幹彦氏の見た祇園はジルエットのやうにたよりないものだと京都児は云ふ。

□僕は詩人として中川一政氏を最も尊敬する、日本未来の大詩人はキツト此の人だ。

□上田敏先生のお宅で毎月一回座談会がある、竹友藻風、出野青煙、細田枯萍氏などが集つて先生のユーモアの溢れるお話をきいて夜を更かす。

□上田先生の令嬢はまだ小学校に居られるがフランス語とピアノとはお上手だとの事。

(以上京都にてK)

(大正三月四月)

底本 / Source edition

底本:「菊池寛全集 第二十二巻」高松市菊池寛記念館、文藝春秋
1995(平成7)年10月30日発行
初出:「新思潮」
1914(大正3)年4月
※表題は底本では、「[#横組み]“TZSCHALLAPPOKO”[#横組み終わり]」となっています。
入力:きゅうり
校正:友理
2020年11月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
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TEI
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プレーンテキスト / Plain text
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書誌 / Bibliography
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菊池 寛「TZSCHALLAPPOKO」(新字旧仮名)、底本『菊池寛全集 第二十二巻』高松市菊池寛記念館、文藝春秋、1995年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 059353_000083, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite