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        <title type="main" xml:lang="ja">コウノトリ</title>
        <title type="reading" xml:lang="ja-Hira">コウノトリ</title>
        <author><persName xml:lang="ja"><surname>アンデルセン</surname><forename>ハンス・クリスチャン</forename><idno type="aozora-person-id">000019</idno></persName><persName xml:lang="ja-Hira"><surname>アンデルセン</surname><forename>ハンス・クリスチャン</forename></persName><persName xml:lang="ja-Latn"><surname>Andersen</surname><forename>Hans Christian</forename></persName></author>
        <respStmt><resp>翻訳者</resp><persName xml:lang="ja"><surname>矢崎</surname><forename>源九郎</forename><idno type="aozora-person-id">001891</idno></persName><persName xml:lang="ja-Hira"><surname>やざき</surname><forename>げんくろう</forename></persName><persName xml:lang="ja-Latn"><surname>Yazaki</surname><forename>Genkuro</forename></persName></respStmt>
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        <bibl><title>マッチ売りの少女　（アンデルセン童話集Ⅲ）</title><publisher>新潮文庫、新潮社</publisher><date>1967（昭和42）年12月10日</date><note type="input-edition">1981（昭和56）年5月30日21刷</note><note type="proof-edition">1982（昭和57）年3月5日22刷</note></bibl>
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      <classDecl><taxonomy xml:id="ndc"><bibl>日本十進分類法 (Nippon Decimal Classification), as recorded by <title>青空文庫</title> in its 分類番号 field.</bibl></taxonomy><taxonomy xml:id="aozora-orthography"><bibl><title>青空文庫</title> 文字遣い種別: the orthographic style Aozora Bunko records for the transcription.</bibl></taxonomy></classDecl>
      <refsDecl xml:id="source-spans"><p>A note of type source-span has an xml:id of the form source-START-END, giving the extent in UTF-8 bytes of the decoded primary text identified in sourceDesc. <ptr target="https://w3id.org/soranoha/ns/tei"/></p></refsDecl>
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      <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-569-1000">ある小さな村の、いちばんはずれの家に、コウノトリの巣がありました。コウノトリのおかあさんは、巣の中で、四羽の小さなひな鳥たちのそばにすわっていました。ひな鳥たちは、小さな黒いくちばしのある頭を、巣の中からつき出していました。このひな鳥たちのくちばしは、まだ赤くなっていなかったのです。</seg></p>
      <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-1000-1518">そこからすこし離れた屋根の頂きに、コウノトリのおとうさんが、からだをまっすぐ起して、かたくなって立っていました。おとうさんは、かたほうの足を、からだの下に高く上げていました。こうして、見張りに立っているあいだは、すこしぐらい、つらい目にもあわなくては、と思ったからでした。おとうさんは、木でほってあるのかと思われるほど、じっと立っていました。</seg></p>
      <p>「巣のそばに、見張りを立たせておくんだから、家内のやつは、ずいぶんえらそうに見えるだろうな」と、コウノトリのおとうさんは考えました。「このおれが、あれのご主人だなどとは、だれも知るまいよ。きっと、ここに立っているように、言いつけられているんだと、思うだろうさ。それにしても、ずいぶん<hi rend="bouten 傍点 right" source="#source-1941-1989"><seg source="#source-1941-1953">だいたん</seg></hi>だろうが！」こうして、コウノトリのおとうさんは、なおも、片足で立ちつづけていました。</p>
      <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-2117-2598">下の通りでは、大ぜいの子供たちがあそんでいました。そのうちに、コウノトリを見つけると、その中のいちばんわんぱくな子が、むかしからある、コウノトリの歌をうたいだしました。すると、それにつづいて、みんなもいっしょにうたいだしました。けれども、はじめにうたった子がおぼえていただけを、みんなは、ついてうたっているのでした。</seg></p>
      <div type="layout" source="#source-2598-2964" style="padding-inline-start: 2em">
        <p><seg source="#source-2633-2674">コウノトリよ、コウノトリ、</seg></p>
        <p><seg source="#source-2674-2718">とんでお帰り、おまえのうちへ</seg></p>
        <p><seg source="#source-2718-2759">おまえのかみさん、巣の中で</seg></p>
        <p><seg source="#source-2759-2797">四羽の子供を寝かしてる。</seg></p>
        <p><seg source="#source-2797-2829">一番めはつるされる、</seg></p>
        <p><seg source="#source-2829-2861">二番めはあぶられよ。</seg></p>
        <p><seg source="#source-2861-2896">三番めは焼き殺されて、</seg></p>
        <p><seg source="#source-2896-2928">四番めはぬすまれよ！</seg></p>
      </div>
      <div>
        <p>「ねえ、あの男の子たちが、あんなことをうたっているよ」と、コウノトリの小さな子供たちは、言いました。「ぼくたち、つるされたり、焼き殺されたりするんだってさ」</p>
        <p>「あんなこと、気にしないでおいで」と、コウノトリのおかあさんは、言いました。「聞かないでいらっしゃい。なんでもないんだからね」</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)">けれども、男の子たちは、なおもうたいつづけて、コウノトリのほうを指さしました。中にひとりだけ、ペーテルという男の子は、動物をからかうのはいけないことだと言って、仲間にはいろうとしませんでした。コウノトリのおかあさんは、ひな鳥たちをなぐさめて、こう言いました。「心配しなくてもいいんだよ。ほら、ごらん。おとうさんは、あんなにおちついて、じっと立っていらっしゃるじゃないの。おまけに、片足でね」</p>
        <p>「ぼくたち、とってもこわい！」ひな鳥たちは、こう言って、頭を巣のおくへひっこめました。</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-4116-4297">つぎの日も、男の子たちが、またあそびに集まってきました。コウノトリを見ると、きのうと同じように、うたいはじめました。</seg></p>
      </div>
      <div type="layout" source="#source-4297-4432" style="padding-inline-start: 2em">
        <p><seg source="#source-4332-4364">一番めはつるされる、</seg></p>
        <p><seg source="#source-4364-4396">二番めはあぶられよ！</seg></p>
      </div>
      <div>
        <p>「ぼくたち、つるされたり、焼き殺されたりするの？」と、コウノトリの子供たちは、たずねました。</p>
        <p>「いいえ、そんなことはありませんとも！」と、おかあさんは言いました。「おまえたちは、もう、とぶことをおぼえなければいけません。おかあさんが、おけいこさせてあげますよ。そしたら、あたしたち、みんなで草原へとんでいって、カエルをたずねてやりましょう。カエルたちはね、水の中からあたしたちにおじぎをして、コアックス、コアックス！　って、うたうんですよ。それから、あたしたちはそのカエルを食べてしまうの。ほんとに、そりゃあ楽しいことですよ！」</p>
        <p>「そうして、それからは？」と、コウノトリの子供たちは、たずねました。</p>
        <p>「それから、この国じゅうにいるコウノトリが、みんな集まって、秋の大演習がはじまるんですよ。そのときは、みんな、うまくとばなければいけませんよ。それは、とってもだいじなことなんですからね。だってね、いいかい、とべないものは、大将さんに、くちばしでつつき殺されてしまうんですもの。だから、おけいこがはじまったら、よくおぼえるようにするんですよ」</p>
        <p>「じゃあ、やっぱり、あの男の子たちが言ってたように、ぼくたち、殺されるんだね。ねえ、ほら、また言ってるよ」</p>
        <p>「おかあさんの言うことを、よくお聞き！　あんな男の子たちの言うことは、聞くんじゃありません！」と、コウノトリのおかあさんは、言いました。「その大演習がおわったら、あたしたちはね、いくつもいくつも山や森をこえて、ここからずっと遠くの、暖かいお国へとんでいくんです。そうやって、エジプトというお国へ、あたしたちは行くのよ。そこには、三角の形をした、石のお<ruby type="furigana" rend="right" source="#source-6531-6546"><rb>家</rb><rt>うち</rt></ruby>があるの。先がとがっていて、雲の上にまで高くつきでているのよ。このお家は、ピラミッドといってね、コウノトリなんかには、とても想像がつかないほど、古くからあるものなのよ。それから、大きな川もあるわ。その川の水があふれると、そのお国はどろ沼になってしまうの。そしたら、そのどろ沼の中を歩きまわって、カエルを食べるのよ」</p>
        <p>「うわあ、すごい！」と、ひな鳥たちは、口をそろえて言いました。</p>
        <p>「そうですとも。とってもすてきよ！　一日じゅう、食べることのほかには、なんにもしないんですもの。そっちではね、あたしたちが、そんなに楽しく暮しているのに、このお国では、木に青い葉っぱが一枚もなくなってしまうのよ。ここはほんとに寒くってね、雲はこなごなにこおって、白い小さな<hi rend="bouten 傍点 right" source="#source-7522-7570"><seg source="#source-7522-7534">ぼろきれ</seg></hi>みたいになって、落ちてくるんですよ」おかあさんの言っているのは、雪のことだったのです。けれども、これよりうまくは、説明することができませんでした。</p>
        <p>「じゃあ、あのいたずらっ子たちも、こなごなにこおってしまうの？」と、コウノトリの子供たちは、たずねました。</p>
        <p>「いいえ、あの子たちは、こなごなにこおって、くだけたりはしませんよ。でも、まあ、そうなったもおんなじで、みんな、暗いお<ruby type="furigana" rend="right" source="#source-8129-8147"><rb>部屋</rb><rt>へや</rt></ruby>の中にひっこんで、じっと、ちぢこまっていなければならないの。それなのに、おまえたちは、きれいなお花が咲いて、暖かいお日さまのかがやいている、よそのお国をとびまわっていることができるんですよ」</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-8434-9297">やがて、幾日か、たちました。ひな鳥たちは、もうずいぶん大きくなったので、巣の中で立ちあがって、遠くまで見まわすことができるようになりました。コウノトリのおとうさんは、毎日毎日、おいしいカエルや、小さなヘビや、そのほか、見つけることのできたごちそうを、かたっぱしから持ってきてくれました。それから、おとうさんは、子供たちに、いろんな芸当をやってみせました。そのようすは、ほんとにゆかいでした。頭をうしろへそらせて、しっぽの上においてみせたり、小さなガラガラのように、くちばしで鳴いてみせたりするのです。それから、いろんなお話もして聞かせました。それは、ぜんぶ沼のお話でした。</seg></p>
        <p>「さあ、おまえたちは、とぶおけいこをしなきゃいけませんよ」と、ある日、コウノトリのおかあさんが、言いました。そこで、四羽のひな鳥たちは、屋根の<ruby type="furigana" rend="right" source="#source-9510-9531"><rb>頂</rb><rt>いただき</rt></ruby><seg source="#source-9531-9806">に出なければなりませんでした。まあ、なんて、よろよろ、よろめいたことでしょう！　みんなは、羽で、からだのつりあいをとっていたのですが、そうしていても、いまにもころがり落ちそうでした。</seg></p>
        <p>「いいかい、おかあさんをごらん」と、おかあさんが言いました。「こんなふうに頭をあげて。足は、こんなふうにおろすんですよ。一、二！　一、二！　これができたら、世の中へ出てもだいじょうぶよ」それから、おかあさんは、いくらかとんでみせました。つづいて、子供たちもぶきっちょに、ちょっとはねあがりましたが、バタッと、たおれてしまいました。まだ、からだが重すぎたのです。</p>
        <p>「ぼく、とぶのはいやだよ」一羽のひな鳥は、こう言って、巣の中へはいこんでしまいました。「暖かい国へなんか、行かなくったっていいや！」</p>
        <p>「じゃあ、おまえは、冬がきたら、ここで、こごえ死んでもいいの？　あの男の子たちがやってきて、おまえをつるして、あぶって、焼き殺してしまってもいいの？　なら、おかあさんが、男の子たちを呼んできてあげましょう」</p>
        <p>「いやだ、いやだ」と、そのコウノトリの子供は言って、ほかのひな鳥たちと同じように、また、屋根の上をはねまわりました。三日めには、すこしでしたけれども、みんなは、ほんとうにとぶことができるようになりました。こうなると、もう自分たちも、空に浮ぶことができるだろう、と思いました。それで、みんなはじっと浮んでいようとしましたが、すぐに、バタッと、落っこちてしまいました。ですから、また、あわてて羽を動かさなければなりませんでした。</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-11497-11604">そのとき、男の子たちが下の通りへ集まってきて、またうたいだしました。</seg></p>
        <p>「コウノトリよ、コウノトリ、とんでお帰り、おまえのうちへ！」</p>
        <p>「ぼくたち、とびおりてって、あの子たちの目玉を、くりぬいてやっちゃいけない？」と、ひな鳥たちは言いました。</p>
        <p>「いけません。ほうっておきなさい」と、おかあさんは言いました。「おかあさんの言うことだけ聞いていれば、いいんですよ。そのほうが、ずっとだいじなことなんですよ。一、二、三！　さあ、右へまわって！　一、二、三！　今度は、えんとつを左のほうへまわって！　――ほうら、ずいぶんじょうずにできたじゃないの。いちばんおしまいの羽ばたきは、とってもきれいに、うまくできましたよ。じゃ、あしたは、おかあさんといっしょに、沼へ行かせてあげましょうね。そこへは、りっぱなコウノトリの家のひとたちが、幾人も、子供たちを連れてきているんですよ。だから、その中で、おかあさんの子が、いちばんりっぱなことを、見せてちょうだいね。からだをまっすぐ起して！　そうすりゃ、とってもりっぱに見えて、ひとからもうやまわれるんですよ！」</p>
        <p>「だけど、あのいたずらっ子たちに、しかえしをしてやっちゃいけないの？」と、コウノトリの子供たちは、たずねました。</p>
        <p>「どなりたいように、どならせておきなさい。おまえたちは、雲の上まで高くとび上がって、ピラミッドのお国へとんでいくんでしょう。そのときはね、あの男の子たちは寒くって、ぶるぶるふるえているんですよ。それに、青い葉っぱも、おいしいリンゴも、なに一つないんですよ」</p>
        <p>「でも、ぼくたち、しかえしをしてやろうね」と、子供たちは、たがいにささやきあいました。それから、またおけいこをつづけました。</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-13647-14351">通りに集まる男の子たちの中で、いつもあのわる口の歌をうたっているよくない子は、いつか、いちばんさいしょにうたいはじめた、あの男の子でした。その子は、まだほんの小さな子で、六つより上には見えませんでした。でも、コウノトリの子供たちにしてみれば、その子は自分たちのおかあさんや、おとうさんよりも、ずっとずっと大きいのですから、年は百ぐらいだろうと思っていました。むりもありません。コウノトリの子供たちに、人間の子供や、おとなの人の年が、どうしてわかるはずがありましょう。</seg></p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-14351-15109">コウノトリの子供たちが、しかえしをしてやろうというのは、この男の子にたいしてだったのです。だって、この子がいちばんさいしょにうたいだしたのですし、それに、いつもきまって、歌の仲間にはいっていたのですから。コウノトリの子供たちは、心からおこっていました。そして、大きくなるにつれて、だんだん、がまんができなくなりました。それで、とうとう、おかあさんも、しかえしをしてもいい、と、約束しなければならなくなってしまいました。でも、この国をたっていく、さいごの日まで、してはいけない、と、言い聞かせたのでした。</seg></p>
        <p>「それよりも、今度の大演習のときに、おまえたちがどんなにやれるか、まずさきに、それを見ましょうよ。もし、おまえたちがうまくできなければ、大将さんがくちばしで、おまえたちの胸をつつくんですよ。そうすりゃ、あの男の子たちの言ったことが、すくなくとも一つは、ほんとうになるじゃないの。さあ、どうなるかしらね」</p>
        <p>「わかりました。見ていてよ！」と、コウノトリの子供たちは言って、それからは、ほんとうにいっしょうけんめい、おけいこをしました。こうして、毎日毎日、おけいこをしたおかげで、とうとう、みんなは、軽がるときれいにとぶことができるようになりました。ほんとに、楽しいことでした。</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)">やがて、秋になりました。コウノトリたちは、このわたしたちの国へ冬がきているあいだ、暖かい国へとんでいくために、みんな集まってきました。それは、たいへんな演習でした！　コウノトリたちは、どのくらいとべるかをためすために、いくつもいくつも、森や村の上をとばなければなりませんでした。なにしろ、これからさき、長い長い旅をしなければならないのですからね。あのコウノトリの子供たちは、たいそうみごとにやってのけましたので、ごほうびに、「カエルとヘビ」という、優等賞をいただきました。それは、いちばんよい点だったのです。そして、このいちばんよい点をもらったものは、カエルとヘビを食べてもいいことになっていました。ですから、このコウノトリの子供たちも、それを食べました。</p>
        <p>「さあ、今度は、しかえしだ！」と、みんなは言いました。</p>
        <p>「そうですとも！」と、コウノトリのおかあさんは、言いました。「おかあさんがね、いま頭の中で考えたことは、とってもすてきなことなんですよ。おかあさんは、ちっちゃな人間の赤ちゃんたちのいる、お池のあるところを知っているの。人間の赤ちゃんたちはね、コウノトリが行って、おとうさんやおかあさんのところへ連れていってあげるまで、そこに寝ているんですよ。かわいらしい、ちっちゃな赤ちゃんたちは、そういうふうに、そこに寝ていて、大きくなってからは、もう二度と見ることのない、楽しい夢を見ているのよ。おとうさんやおかあさんは、だれでも、そういうちっちゃな赤ちゃんをほしがっているし、子供たちは子供たちで、みんな、妹や弟をほしがっているんですよ。さあ、あたしたちは、みんなでそのお池へとんでいって、わる口の歌をうたわなかった子や、コウノトリをからかったりしなかった子のところへ、かわいらしい赤ちゃんをひとりずつ、連れていってやりましょうね。みんな、いい子なんですから」</p>
        <p>「でも、あの子には？　ほら、さいしょに歌をうたいはじめた、あのいじわるの、いたずらっ子には？」と、若いコウノトリたちは、さけびました。「あの子にはどうするの？」</p>
        <p>「そのお池には、死んだ夢を見ている、死んだ赤ちゃんもいるのよ。だから、あの子のところへは、その死んだ赤ちゃんを連れていってやりましょう。あたしたちが死んだ弟を連れていけば、あの子は、きっと泣き出しますよ。けれど、あのいい子にはね、おまえたちも、きっと忘れてはいないでしょう、ほら、『動物をからかうのは、いけないことだ』と、言ったあの子ね、あの子のところへは、弟と妹を連れていってやりましょう。それから、あのいい子はペーテルという名前だから、おまえたちもみんな、ペーテルという名前にしてあげましょうね」</p>
        <p style="text-indent: 1em" rend="first-line-indent(1)"><seg source="#source-19311-19587">こうして、おかあさんの言ったとおりになりました。それから、コウノトリは、みんなペーテルという名前になりました。こういうわけで、いまでも、コウノトリは、ペーテルと呼ばれているんですよ。</seg></p>
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        <note type="source-attribution" source="#source-19595-19828"><seg type="source-line">底本：「マッチ売りの少女　（アンデルセン童話集※［＃ローマ数字3、1-13-23］）」新潮文庫、新潮社</seg><lb/><seg type="source-line" style="padding-inline-start: 3em">1967（昭和42）年12月10日発行</seg><lb/><seg type="source-line" style="padding-inline-start: 3em">1981（昭和56）年5月30日21刷</seg></note>
        <note type="transcriber-note" source="#source-19828-20143"><seg type="source-line">入力：チエコ</seg><lb/><seg type="source-line">校正：木下聡</seg><lb/><seg type="source-line">2020年3月28日作成</seg><lb/><seg type="source-line">青空文庫作成ファイル：</seg><lb/><seg type="source-line">このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫（https://www.aozora.gr.jp/）で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。</seg></note>
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        <note type="source-span" xml:id="source-8129-8147" n="52"/>
        <note type="source-span" xml:id="source-8434-9297" n="53"/>
        <note type="source-span" xml:id="source-9510-9531" n="54"/>
        <note type="source-span" xml:id="source-9531-9806" n="54"/>
      </div>
      <note type="parser-completion" n="true">The n attribute is true when no parser diagnostic of error severity was raised for this source. What the converter could not interpret is recorded in the interpretation-problem and parser-diagnostic notes.</note>
      <note type="source-decoding">windows-31j</note>
    </back>
  </text>
</TEI>