ある日
市電ののりかえで待っていると
一人の女の人がやってきた
洋服も帽子も見たこともないような古い型で
汚れて穴もあいている
断髪の毛は赤ちゃけ
木綿靴下の足がすりこぎのように弾力がない
電車がきて
彼女はわたしの前に向かい合った
健康でない
むしろやつれた細面のかお
けれども
目は
生き生きとして
ひとところを見ていた
彼女はどんな過去を持っているのだろう
風呂敷き包みをきちんとかかえ
どんな仕事をしているんだろう
亭主や子供があるんだろうか
あるひ
中野 鈴子
ある日
市電ののりかえで待っていると
一人の女の人がやってきた
洋服も帽子も見たこともないような古い型で
汚れて穴もあいている
断髪の毛は赤ちゃけ
木綿靴下の足がすりこぎのように弾力がない
電車がきて
彼女はわたしの前に向かい合った
健康でない
むしろやつれた細面のかお
けれども
目は
生き生きとして
ひとところを見ていた
彼女はどんな過去を持っているのだろう
風呂敷き包みをきちんとかかえ
どんな仕事をしているんだろう
亭主や子供があるんだろうか
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c中野 鈴子「ある日」(新字新仮名)、底本『中野鈴子全詩集』フェニックス出版、1980年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 059055_001637, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079