Soranoha

川端茅舎句集

かわばたぼうしゃくしゅう

高浜 虚子

茅舎句集が出るといふ話をきいた時分に、私は非常に嬉しく思つた。親しい俳友の句集が出るといふ事は誰の句集であつても喜ばしいことに思へるのであるけれども、わけても茅舎句集の出るといふことを聞いた時は最も喜びを感じたのである。それはどうしてであるかといふ事は自分でもはつきり判らない。

茅舎君は嘗ても言つたやうに、常にその病苦と闘つて居ながら少しもその病苦を人に訴へない人である。生きんが為の一念の力は、天柱地軸と共に、よく天を支へ地を支へ茅舎君の生命をも支へ得る測り知られぬ大きな力である。

茅舎君は真勇の人であると思ふ。自分の信ずるところによつて急がず騒がず行動してをる。

茅舎君は雲や露や石などに生命を見出すばかりでなく、鳶や蝸牛などにも人性を見出す人である。

露の句を巻頭にして爰に収録されてゐる句は悉く飛び散る露の真玉の相触れて鳴るやうな句許りである。

昭和九年九月十一日

ホトトギス発行所

高浜虚子

底本 / Source edition

底本:「現代日本文學大系 95 現代句集」筑摩書房
1973(昭和48)年9月25日初版第1刷発行
1977(昭和52)年5月20日初版第5刷発行
入力:kompass
校正:鴨川佳一郎
2018年6月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

この表示について / About this rendering

記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.

リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/058860_001310/tei
プレーンテキスト / Plain text
/works/058860_001310/plaintext
書誌 / Bibliography
/works/058860_001310/

高浜 虚子「川端茅舎句集──01 序」(新字旧仮名)、底本『現代日本文學大系 95 現代句集』筑摩書房、1973年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 058860_001310, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite