二羽　三羽　霧のかかつた水際に　黒い小鴨が游いでゐる

私は林の小徑を出る　――それとなし彼らはくるりと向きをかへる

やがて一羽は空に揚る　一羽は水の面を飛ぶ　一羽はあとに殘される

彼は周章てて水を打つ　水を打つ　やつとからだが宙に浮く　仲間と違つた方角へ