釣竿の影がうつつている
この無限の中で
釣をする人は
しつかり岩の上に坐つたまま
ねむつている
ねむつたまま竿をにぎつている
今日は川魚たちの祝祭日
みんな青い時間の流れにそつて
さがつている針を
横目でにらみながら通りすぎる
今までどうにか生き残つた魚たちの
今日はお祭りなんだよ
先頭を行く逞しい雄のあとを
紅いろに着飾つた雌たちが
一列になつておよいでゆく
水底の砂にゆれる光る青空と白い雲
人間の世界でも秋祭りなんだなあ!
遠い太鼓の音が
この川底までひびいてくる
あき
蔵原 伸二郎
釣竿の影がうつつている
この無限の中で
釣をする人は
しつかり岩の上に坐つたまま
ねむつている
ねむつたまま竿をにぎつている
今日は川魚たちの祝祭日
みんな青い時間の流れにそつて
さがつている針を
横目でにらみながら通りすぎる
今までどうにか生き残つた魚たちの
今日はお祭りなんだよ
先頭を行く逞しい雄のあとを
紅いろに着飾つた雌たちが
一列になつておよいでゆく
水底の砂にゆれる光る青空と白い雲
人間の世界でも秋祭りなんだなあ!
遠い太鼓の音が
この川底までひびいてくる
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c蔵原 伸二郎「秋」(新字新仮名)、底本『近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎』新学社、2005年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 056980_001821, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079