Soranoha

母

はは

長谷川 伸

『畸人伝』にもあるが清元の『保名』にもその名が残っている小西来山に、だれでも知っているだろう句がある。

けふの月ただくらがりが見られけり

句をただ句だけとしてみることがつまらないという考え方は、前の茨木理兵衛の「身の上や」でもそうだが、「けふの月」にいたっては殊にそうである。『今宮草』についてその前書きを見ると、この句は佳き戯曲小説と同じように打ってくるものを持っていることが感じられる。

母に別れてのち大酔に及ばぬときは一日も夢にみぬことなし、機嫌よきときはその朝こころよし、さもなき時はその朝こころよからずして、せめて今宵の夢はと待ちかぬるぞかし。

けふの月ただくらがりが見られけり

底本 / Source edition

底本:「日本の名随筆 別巻25 俳句」作品社
1993(平成5)年3月25日第1刷発行
1999(平成11)年11月20日第6刷発行
底本の親本:「長谷川伸全集 第一一巻」朝日新聞社
1972(昭和47)年1月
入力:門田裕志
校正:雪森
2014年1月1日作成
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
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TEI
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プレーンテキスト / Plain text
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書誌 / Bibliography
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長谷川 伸「母」(新字新仮名)、底本『日本の名随筆 別巻25 俳句』作品社、1993年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 056602_001726, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite