酒は誰でも酔はす
だがどんな傑れた詩も
字の読めない人は酔はさない
――だからといつて
酒が詩の上だなんて考へる奴あ
「生活第一芸術第二」なんて言つてろい
自然が美しいといふことは
自然がカンヴァスの上でも美しいといふことかい――
そりや経験を否定したら
インタレスチングな詩は出来まいがね
――だが
「それを以てそれを現すべからず」つて言葉を覚えとけえ
科学が個々ばかりを考へて
文学が関係ばかりを考へ過ぎる
文士よ
せち辛い世の中をみるが好いが
その中に這入つちや不可ない
(さけはだれでもよわす)
中原 中也
酒は誰でも酔はす
だがどんな傑れた詩も
字の読めない人は酔はさない
――だからといつて
酒が詩の上だなんて考へる奴あ
「生活第一芸術第二」なんて言つてろい
自然が美しいといふことは
自然がカンヴァスの上でも美しいといふことかい――
そりや経験を否定したら
インタレスチングな詩は出来まいがね
――だが
「それを以てそれを現すべからず」つて言葉を覚えとけえ
科学が個々ばかりを考へて
文学が関係ばかりを考へ過ぎる
文士よ
せち辛い世の中をみるが好いが
その中に這入つちや不可ない
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c中原 中也「(酒は誰でも酔はす)」(新字旧仮名)、底本『新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ』角川書店、2001年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 055915_000026, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079