痩たる土壌をかなしむなく
遠き遍土にあるをかこつなく
春となれば芽をだし
夏となれば緑を盛り花を飾る
貧しく小さくして尚たゆまず
ただ一つ
秋、凡ての秋において
ただ一つ
種を孕んだわが名知らぬ草
精一杯に伸びんとして努力空しく
夏のま中炎天のあまり枯死してしまったものもある
草にして一生は尊い生命の凡てである
一つの種は一つの種をはらんだ
そして遍土の痩土に
初冬のころ
雪を戴き埋れ、静かに待っていた一つの風景
一九二七年十二月拙き心情を綴り旭川にある小熊秀雄氏に贈る
まっていたひとつのふうけい
今野 大力
痩たる土壌をかなしむなく
遠き遍土にあるをかこつなく
春となれば芽をだし
夏となれば緑を盛り花を飾る
貧しく小さくして尚たゆまず
ただ一つ
秋、凡ての秋において
ただ一つ
種を孕んだわが名知らぬ草
精一杯に伸びんとして努力空しく
夏のま中炎天のあまり枯死してしまったものもある
草にして一生は尊い生命の凡てである
一つの種は一つの種をはらんだ
そして遍土の痩土に
初冬のころ
雪を戴き埋れ、静かに待っていた一つの風景
一九二七年十二月拙き心情を綴り旭川にある小熊秀雄氏に贈る
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c今野 大力「待っていた一つの風景」(新字新仮名)、底本『今野大力作品集』新日本出版社、1995年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 055568_001471, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079