* 小川は濁っている ヤマメ、イワナのようなうまい小魚はもうそこへはのぼって来ない 淀みにはどぶ臭い雑魚が居り 廿年の昔の清冷な流れの面影がない     * 連なる丘陵は ただ禿山であり 焼けたエゾ松の根株が淋しく黒く佇んで居り 昔そこに美しい針葉樹林があり 楡、タモ、栓、楢、紅葉、桜、胡桃、白椛の林があって 小鳥や兎達の楽しい場所であったことは きれいに忘れ去られている     * 部落の人々は何を考えているのか 娘のたのもしい夫のことでもない 息子のきれいな気の利いた嫁のことでもない 土地が自分のものであったら 今年の収穫が高くうれたら