私はいろいろな過去の日記や書きちらしや、あちこちの新聞雑誌へ発表したものや、その折々の切抜や、自分を育ててゆくための材料を古い家に置きっきりだった、転々と私は歩いた、私はそれらに目を通さなかった、私の過去は忘れ去られつつあった
私は常にぽっかりと新らしい場所へ新らしい考えの中へ出て、そこから短かいものだけを、しかも又その場その場へ置いて歩いた、だから私は何年かぶりで病にたおれて古い家へかえりその古いものを見て立すくんだのである。
たちすくむ
今野 大力
私はいろいろな過去の日記や書きちらしや、あちこちの新聞雑誌へ発表したものや、その折々の切抜や、自分を育ててゆくための材料を古い家に置きっきりだった、転々と私は歩いた、私はそれらに目を通さなかった、私の過去は忘れ去られつつあった
私は常にぽっかりと新らしい場所へ新らしい考えの中へ出て、そこから短かいものだけを、しかも又その場その場へ置いて歩いた、だから私は何年かぶりで病にたおれて古い家へかえりその古いものを見て立すくんだのである。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c今野 大力「立すくむ」(新字新仮名)、底本『今野大力作品集』新日本出版社、1995年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 055551_001471, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079