たゞひとり黎明の森を行く。

風は心虚しく幹のあはひを翔り、

木々はみなその白き葉裏を<ruby><rb>反</rb><rt>かへ</rt></ruby>す。

樹の間がくれに、<ruby><rb>足速</rb><rt>あしばや</rt></ruby>に

白き馬を牽きゆくは誰ぞ。

道の<ruby><rb>辺</rb><rt>べ</rt></ruby>の　歯朶の群をのゝけり。

かゝるとき、湿りたる岩根を踏めば

あゝ、わが出<ruby><rb>生</rb><rt>しやう</rt></ruby>の記憶甦へる。