酔ひ<ruby><rb>痴</rb><rt>し</rt></ruby>れて、母君の知り給はぬ女の胸にあるとき、「＊ここにわが働かざりし双手あり」の句を君の耳もとにさゝやき、卒然と君の眼の中に、母君の白き髪と額の皺とを呼び入れるものは何であるか。心せよ、これこそ、世界の構成の最下層から突き出でて、君の心臓の内壁にまで達する、かのへらへらとした気味あしき触手の、節奏なき運動の効果なのである。人はこの触手の存在に気付くことがあまりに少なく、しかもそれのために「ちよろりとやられてしまふ」ことがあまりに多いのである。されば友よ、（君は尊敬すべき生活の殉教者だ）、まづ空間を横ぎるこれらの黒い線條の存在に注意しよう。そして、卑しむに堪へたるかれらの機能に対して、心からの敵意を以て警戒しようではないか。

＊ Voici mes mains qui n'ont pas travaillé ―― Verlaine, Sagess e, <span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">Ⅱ</span>, 1\.