うす暗い椽側の端で、
琥珀色した女の瞳が
光つた――夫に叛いた。
もうむかふへ向いた、
庭の樹立と遊んでゐる――
あの狡猾なまなざしは。
とり残された共犯者が
清潔な触手で追ひかける。
だがみんな滑つてしまつた、
女の冷たい角膜の上を。
夫の眼がやつと、鋭く、追ひかけた。
薄闇の中でカチカチとぶつかる、
樹と 夕焼と 瞳と、
瞳と……瞳と……。
パントマイム
富永 太郎
うす暗い椽側の端で、
琥珀色した女の瞳が
光つた――夫に叛いた。
もうむかふへ向いた、
庭の樹立と遊んでゐる――
あの狡猾なまなざしは。
とり残された共犯者が
清潔な触手で追ひかける。
だがみんな滑つてしまつた、
女の冷たい角膜の上を。
夫の眼がやつと、鋭く、追ひかけた。
薄闇の中でカチカチとぶつかる、
樹と 夕焼と 瞳と、
瞳と……瞳と……。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c富永 太郎「PANTOMIME」(新字旧仮名)、底本『富永太郎詩集』現代詩文庫、思潮社、1975年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 055464_000678, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079