立ち去つた私のマリアの記念にと 友と二人アプサントを飲んだ帰るさ 星空の下をよろめいて、 互の肩につかまりあつた。 ――もうあの女に会へないと決まつたときは 泣いたせゐで、俺は結膜炎に罹つたつけ。 ――さうさう、すると、眼を泣き潰したといふ昔話も まんざら嘘ぢやないかもしれない。 さるいかめしい黒塀の角を曲がつたとき 球をつくキユーの花やいだ響きに 見上げる眼にふと入つた 薔薇色の天井に張りわたした蜘蛛手の万国旗……