雄心や花ふみにじりわか芽つみほゝゑむすべは知らずあらなむ

ふと行きてかへらぬ人よ掌をすべりて消えし玉ならなくに

身の秋にしのぶも悲し日陰草小さく咲きて散りし花はも

天つ世の魂の<ruby><rb>足音</rb><rt>あおと</rt></ruby>のきこゆらしゆめの国ゆくあかつきの時

思ひなゝあらそひもなき後の世は唯いとまあり眠る人のみ

つばさ破れ落ちしはやぶさやけ砂にうなじやかせて遠き空見る

うつくしき青葉の岡の殿づくり饑ゑし<ruby><rb>百人</rb><rt>もゝたり</rt></ruby>つちはこぶらし

花散りし胸の園生の垣ゆれて道行く人となりにける君

ますらをはつかれつゝみてよき妻のつかはれ人となりにけるはや

朝の風四里の麦生の波越えて多摩の川辺に人たづね行く