ありとあらゆるわが思、「愛」と語りて弛なく その種々の語の數いと繁きひといろは、 勢猛にわれをしも力の下に壓さむとし、 またひといろは勢を誇り語りて、らうがはし。 あるは望を抱きつゝ、悦われにあらしめつ、 あるは頻にわれをしも憂ひ悲しましむれども、 「憐」仰ぐひとことは、すべての思皆おなじ、 心の底に潛みたる「恐」によりてふるひつゝ。 さてはいづれの思をば、頭の心と定むべき。 語り出むと思へども、語らふべきを吾知らず。 ただ茫然と、迷はしき「愛」の衢にひとり立つ。 かくて思のいづれにも適はむ事を求むれば、 他に詮術のあらばこそ、口惜しけれど吾は唯 身のまもりにと呼はらむ、かたきの姫の「憐」を。