蛾が
静かに障子の桟からおちたよ
死んだんだね
なにもしなかったぼくは
こうして
なにもせずに
死んでゆくよ
ひとりで
生殖もしなかったの
寒くってね
なんにもしたくなかったの
死んでゆくよ
ひとりで
なんにもしなかったから
ひとは すぐぼくのことを
忘れてしまうだろう
いいの ぼくは
死んでゆくよ
ひとりで
こごえた蛾みたいに
ふゆにしす
竹内 浩三
蛾が
静かに障子の桟からおちたよ
死んだんだね
なにもしなかったぼくは
こうして
なにもせずに
死んでゆくよ
ひとりで
生殖もしなかったの
寒くってね
なんにもしたくなかったの
死んでゆくよ
ひとりで
なんにもしなかったから
ひとは すぐぼくのことを
忘れてしまうだろう
いいの ぼくは
死んでゆくよ
ひとりで
こごえた蛾みたいに
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c竹内 浩三「冬に死す」(新字新仮名)、底本『竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻』藤原書店、2001年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054822_001675, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079