Soranoha

よく生きてきたと思う

よくいきてきたとおもう

竹内 浩三

よく生きてきたと思う

よく生かしてくれたと思う

ボクのような人間を

よく生かしてくれたと思う

きびしい世の中で

あまえさしてくれない世の中で

よわむしのボクが

とにかく生きてきた

とほうもなくさびしくなり

とほうもなくかなしくなり

自分がいやになり

なにかにあまえたい

ボクという人間は

大きなケッカンをもっている

かくすことのできない

人間としてのケッカン

その大きな弱点をつかまえて

ボクをいじめるな

ボクだって その弱点は

よく知ってるんだ

とほうもなくおろかな行いをする

とほうもなくハレンチなこともする

このボクの神経が

そんな風にする

みんながみんなで

めに見えない針で

いじめ合っている

世の中だ

おかしいことには

それぞれ自分をえらいと思っている

ボクが今まで会ったやつは

ことごとく自分の中にアグラかいている

そしておだやかな顔をして

人をいじめる

これが人間だ

でも ボクは人間がきらいにはなれない

もっとみんな自分自身をいじめてはどうだ

よくかんがえてみろ

お前たちの生活

なんにも考えていないような生活だ

もっと自分を考えるんだ

もっと弱点を知るんだ

ボクはバケモノだと人が言う

人間としてなっていないと言う

ひどいことを言いやがる

でも 本当らしい

どうしよう

ひるねでもして

タバコをすって

たわいもなく

詩をかいていて

アホじゃキチガイじゃと言われ

一向くにもせず

詩をかいていようか

それでいいではないか

底本 / Source edition

底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店
2001(平成13)年11月30日初版第1刷発行
2002(平成14)年8月30日初版第5刷発行
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年7月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
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TEI
/works/054810_001675/tei
プレーンテキスト / Plain text
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書誌 / Bibliography
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竹内 浩三「よく生きてきたと思う」(新字新仮名)、底本『竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻』藤原書店、2001年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054810_001675, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite