あの山を越えるとき
おれたちは機関車のように 蒸気ばんでおった
だまりこんで がつんがつんと あるいておった
急に風がきて 白い雪のかたまりを なげてよこした
水筒の水は 口の中をガラスのように刺した
あの山を越えるとき
おれたちは焼ける樟樹であった
いま あの山は まっ黒で
その上に ぎりぎりと オリオン星がかがやいている
じっとこうして背嚢にもたれて
地べたの上でいきづいていたものだ
またもや風がきて雨をおれたちの顔にかけていった
こうぐんに
竹内 浩三
あの山を越えるとき
おれたちは機関車のように 蒸気ばんでおった
だまりこんで がつんがつんと あるいておった
急に風がきて 白い雪のかたまりを なげてよこした
水筒の水は 口の中をガラスのように刺した
あの山を越えるとき
おれたちは焼ける樟樹であった
いま あの山は まっ黒で
その上に ぎりぎりと オリオン星がかがやいている
じっとこうして背嚢にもたれて
地べたの上でいきづいていたものだ
またもや風がきて雨をおれたちの顔にかけていった
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c竹内 浩三「行軍二」(新字新仮名)、底本『竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻』藤原書店、2001年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054807_001675, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079