ぼくが 帰るとまもなく
まだ八月に入ったばかりなのに
海はその表情を変えはじめた
白い歯をむき出して
大波小波を ぼくにぶっつける
ぼくは 帰るとすぐに
誰もなぐさめてくれないので
海になぐさめてもらいにやってきた
海はじつにやさしくぼくを抱いてくれた
海へは毎日来ようと思った
秋は 海へまっ先にやってくる
もう秋風なのだ
乾いた砂をふきあげる風だ
ぼくは眼をほそめて海を見ておった
表情を変えた海をばうらめしがっておった
うみ
竹内 浩三
ぼくが 帰るとまもなく
まだ八月に入ったばかりなのに
海はその表情を変えはじめた
白い歯をむき出して
大波小波を ぼくにぶっつける
ぼくは 帰るとすぐに
誰もなぐさめてくれないので
海になぐさめてもらいにやってきた
海はじつにやさしくぼくを抱いてくれた
海へは毎日来ようと思った
秋は 海へまっ先にやってくる
もう秋風なのだ
乾いた砂をふきあげる風だ
ぼくは眼をほそめて海を見ておった
表情を変えた海をばうらめしがっておった
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c竹内 浩三「海」(新字新仮名)、底本『竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻』藤原書店、2001年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054806_001675, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079