Soranoha

白い雲

しろいくも

竹内 浩三

満州というと

やっぱし遠いところ

乾いた砂が たいらかに

どこまでもつづいていて

壁の家があったりする

そのどこかの町の白い病院に

熱で干いた唇が

枯草のように

音もなく

山田のことばで

いきをしていたのか

ゆでたまごのように

あつくなった眼と

天井の

ちょうど中ごろに

活動写真のフィルムのように

山田の景色がながれていたのか

あゝその眼に

黒いカーテンが下り

その唇に

うごかない花びらが

まいおちたのか

楽譜のまいおちる

けはいにもにて

白い雲が

秋の空に

音もなく

とけて

ゆくように

底本 / Source edition

底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店
2001(平成13)年11月30日初版第1刷発行
2002(平成14)年8月30日初版第5刷発行
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年11月14日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

この表示について / About this rendering

記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.

リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/054779_001675/tei
プレーンテキスト / Plain text
/works/054779_001675/plaintext
書誌 / Bibliography
/works/054779_001675/

竹内 浩三「白い雲」(新字新仮名)、底本『竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻』藤原書店、2001年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054779_001675, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite