晴れわたる
秋の遠山は、らんじゅくした、女のらたい、ふっくらとした、山肌は、女の、いんこうのごとき、谷をきざむ。ああ、はるかに見る、秋の山山は肉感的なるかな
十時五分前
太陽はさんらんと放散するのに馬車にへこんだ、村の道を、詩人があるく
×
一せいに高い、けやきの枝は、やみ上がりの女のかみのごとく、うすく宙をねらう
土蔵の壁の白く明るく。
村を吐き出されたひとびとは、
絵のごとく、でんぱたにうごく高い空――
十時。
地蔵が、もくして立つ、詩の入り口に詩人がつく。
むらへいく
鶴 彬
晴れわたる
秋の遠山は、らんじゅくした、女のらたい、ふっくらとした、山肌は、女の、いんこうのごとき、谷をきざむ。ああ、はるかに見る、秋の山山は肉感的なるかな
十時五分前
太陽はさんらんと放散するのに馬車にへこんだ、村の道を、詩人があるく
×
一せいに高い、けやきの枝は、やみ上がりの女のかみのごとく、うすく宙をねらう
土蔵の壁の白く明るく。
村を吐き出されたひとびとは、
絵のごとく、でんぱたにうごく高い空――
十時。
地蔵が、もくして立つ、詩の入り口に詩人がつく。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c鶴 彬「村へ行く」(新字新仮名)、底本『手と足をもいだ丸太にしてかえし 現代仮名遣い版鶴彬全川柳』邑書林、2007年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054771_001674, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079