神無月、日は淡々と
夕ぐれの雲ににほへば、
眼路ひくき彼方に薄れ
あはれなる遠樹ぞ見ゆる。
畦をゆく斑の牛と
黄牛は声も慵く、
今は皆刑の場に
皮剥がれ紅く伏しなむ、
かく思ひ定めし如く
とぼとぼと霧にまぎれぬ。
素枯野のあなた、沼尻の、
荻すすき折れ伏す所、
ああ如何に髑髏を洗ふ
冬の水音して落ちむ。
ひえひえと身に泌む寒さ、
われは今いづこ歩むや、
ふと思ふ、ああ人の世も
ここにして終極にかあらむ。
下り坂をぐらくなりて
見るかぎり煙うづまく。
さか
末吉 安持
神無月、日は淡々と
夕ぐれの雲ににほへば、
眼路ひくき彼方に薄れ
あはれなる遠樹ぞ見ゆる。
畦をゆく斑の牛と
黄牛は声も慵く、
今は皆刑の場に
皮剥がれ紅く伏しなむ、
かく思ひ定めし如く
とぼとぼと霧にまぎれぬ。
素枯野のあなた、沼尻の、
荻すすき折れ伏す所、
ああ如何に髑髏を洗ふ
冬の水音して落ちむ。
ひえひえと身に泌む寒さ、
われは今いづこ歩むや、
ふと思ふ、ああ人の世も
ここにして終極にかあらむ。
下り坂をぐらくなりて
見るかぎり煙うづまく。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c末吉 安持「坂」(新字旧仮名)、底本『沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ』国書刊行会、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054512_001607, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079