Soranoha

友に

ともに

末吉 安持

友ともよ恨うらまじ今日けふよりは

ねたまじ、君きみは濃藍のうらんの

底見そこみえわかぬわたづみの

珊瑚さんごの宮みやに恋こひを得えて

幸さきくあり、とに思おもひ止やまむ。

濃藍こあゐたゞえて見みえわかぬ

わたづみ底ぞこの恋こひなれば

誰たが子こ誰たが子この手てをとりて

口くちつけかはし笑ゑみかはし

ありともいかで名なを知しらむ。

恋こひを恋こはれぬ嫉妬ねたみもて、

相合あひあふ魂たまを咀のろふとも、

三月ぐわつ尽じんの百蓮華びやくれんげ

得えやは枯からさむあたゝかき

蕾つぼみふくめる緋牡丹ひぼたんを。

寄藻よりもの花はなも匂にほはざる。

荒磯ありその辺ほとり、夏なつの日ひに

照てり晒さらされて帆立貝ほたてがい

帆ほを失うしなひぬ、砂すなの上へに

歯はをくひあてゝ滅ほろばゞや

とおもひにしも怨疾をんしつの

膿うみに悩なやめる昨夜よべなりし、

帆ほを失うしなひし貝かいならば

今日けふより思おもひ安やすからむ、

荒磯ありその上うえや寂光土じやくくわうど――

ねたみくづれし花はなならば

今日けふよりなげきあらためむ、

法のりの雨あめ降ふれあゝさらば、

乱みだれて飛とびし花片はなびらを

濡ぬれ朽くたしめよ土着つちきせよ。

日毎ひごと夜毎よごとに死しにかはり

死しにかはりてもあゝ友ともよ

ねたまじ友ともの恋人こひゞとよ、

こひねがはくは円まどかなる

愛あひの光ひかりを仰あふがしめずや。

底本 / Source edition

底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※[#ローマ数字1、1-13-21]」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年12月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/054508_001607/tei
プレーンテキスト / Plain text
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書誌 / Bibliography
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末吉 安持「友に」(新字旧仮名)、底本『沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ』国書刊行会、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054508_001607, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

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