冬の光は冲天に流れて
池面は数日来じめじめ淀んでゐる
アカホの木は一つ古木ゆゑに
杖のやうに気根をたより
その南の枝に烏は一羽 未だ地上に達しない光を貪ってゐる
烏は ただ 黙々と
村人たちの悲しい迷信の上に不可思議な運命をまじなひ
樹下にたじろぐ二人三人の村人は
木梢にうそぶく彼の運命の声に胸をおさへてゐる
◉このアカホの木に烏がなけば、それは村中に起るべき死人かお産かの前兆であると村人は信じてゐます
アカホのき
泉 芳朗
冬の光は冲天に流れて
池面は数日来じめじめ淀んでゐる
アカホの木は一つ古木ゆゑに
杖のやうに気根をたより
その南の枝に烏は一羽 未だ地上に達しない光を貪ってゐる
烏は ただ 黙々と
村人たちの悲しい迷信の上に不可思議な運命をまじなひ
樹下にたじろぐ二人三人の村人は
木梢にうそぶく彼の運命の声に胸をおさへてゐる
◉このアカホの木に烏がなけば、それは村中に起るべき死人かお産かの前兆であると村人は信じてゐます
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c泉 芳朗「アコウの木」(新字旧仮名)、底本『沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ』国書刊行会、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054415_001665, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079