母、吾が為に

鼠の子虫籠に入れて与へぬ

病間の徒然なる

吾指もて小づき戯れ

心明るう時を経にけり。

あはれ鼠の子まこと子なれば

耳孕桃色に　<ruby><rb>血管</rb><rt>ちすぢ</rt></ruby>の脈打つも<ruby><rb>生物</rb><rt>いきもの</rt></ruby>らしく

今は前肢を捧げ餌食みゐるも﨟たけし。

やがて夕べの風出でぬ――時を経ぬ間に

何時か<ruby><rb>牛乳</rb><rt>ちち</rt></ruby>の時間となりぬれば

吾鼠の事も忘れ

青葉繁れる窓に

<ruby><rb>牛乳</rb><rt>ちち</rt></ruby>を飲みゐたり。