妹よ あの跫音は何であらう
喪はれた美しい日々の歌声ではない
今日も夕暮近い霙の中を通つてよ
怖ろしい鴉の黒い群であらうか
散薬の重いしめりに病み呆けた
わたしの胸にやつて来て
わたしの肋骨をこつこつとたたく
何であらう
妹よ お前さへ居ない此の部屋を
こつこつとたたくのは
いつたい何であらう
霙のやうに冷たい死の掌か――
霙のふる夕暮は
霙のふる夕暮に似て
さびしい私の若さ・いのちであるのだ
妹よ
みぞれのなか
森川 義信
妹よ あの跫音は何であらう
喪はれた美しい日々の歌声ではない
今日も夕暮近い霙の中を通つてよ
怖ろしい鴉の黒い群であらうか
散薬の重いしめりに病み呆けた
わたしの胸にやつて来て
わたしの肋骨をこつこつとたたく
何であらう
妹よ お前さへ居ない此の部屋を
こつこつとたたくのは
いつたい何であらう
霙のやうに冷たい死の掌か――
霙のふる夕暮は
霙のふる夕暮に似て
さびしい私の若さ・いのちであるのだ
妹よ
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c森川 義信「霙の中」(新字旧仮名)、底本『増補 森川義信詩集』国文社、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 054388_001652, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079