## Ⅰ

梢が

空にとどいてゐる

美しい樹々よ

花の咲かない…………

花はなくとも

ああ　せめてものわが願い

## Ⅱ

樹々の編む

光りのハンモツクに

僕はつつましく腰をおろす

風が静かにひかるとき

ゆれないハンモツクで

僕はそつと時間をみ失ふ

## Ⅲ

小さな口をあけて

ぽくぽくと駆けてくる

波頭よ

さうして

何も彼も洗ふがいい…………

貝殻の中の小さな海にも

冷い空が

匂ふやうに光る

## Ⅳ

青い塔の半円形も消え

匂ひの向ふへ花がこぼれた

重たい風船のやうに暗い秋の陽が

落ちてしまつて…………

ひと掬ひの歌もない

海よ

貨物船よりもぢつとして

お前を視てゐる僕

（〈<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">13</span>年〉十一月讃岐にて）