橋の袂の日まはり

床屋の裏の日まはり

水車小屋の日まはり

交番の陰の日まはり

<ruby><rb>頽</rb><rt>くづ</rt></ruby>れた築地の上に聳える

路ばたの墓地の日まはり

丘の上の洒落た一つ家

そのまた上の　女學校の　寄宿舍の

庭の日まはり

ああ日まはり

日まはり

それは旺んな季節の洪水

七月　この海邊の町を不意打して

この小さな町をとりかこみ　占領し

彼らの眞晝の凱歌をうたふ

日まはり

日まはり

彼方町はづれの踏切にも

此方天守の崩れた<ruby><rb>城址</rb><rt>しろあと</rt></ruby>にも

ここかしこ　到るところに

いま一ひらの雲もない青空をささげて咲いた日まはり

日まはり

若き日のわが夢のかずかず

…………………………

しかはあれその花の一輪にだも

今日の日のわれが望みはしかざるなり

げにその花の一輪にだも

海の音彼方に高き日ざかりを

いまこの町をゆきゆきて

なほその花の下陰にわれは立つとも