砲煙弾雨の中に     常に描いて居た 懐かしい故郷の     停車場だった 白布に包まれた     木箱の中で 無言の英雄は     故郷に抱かれた       喜こびに 打ちふるえて     居るだろう 軽々と けれど     つつましく 木箱を捧げた     戦友は 微かな砲煙の臭を     感じながら 高まって来る     感情を こらえて居た 弔旗がしずかに     垂れて 水を打った様な     出迎えの中を 今 悲しい死の     凱旋兵は       行く 一九三七年、善弘が従兄にあてた手紙より (一九七九年二月槇村浩の会刊『土佐プロレタリア詩集』を底本)