春の訪れをまっ先に知らせてくれた

黄色に輝くたんぽぽの花よ、

いま恍惚と夢見るように

まっしろな球形の頭を微風になびかして

音もなくふっわりと羽蟻のごとく飛びゆく数々の種子は

青空の彼方へ

飛び行く種子よ！

周囲に呻吟するおれの希望を、思想を

雁のごとく伝波せよ

そして来たるべき春に

雨・風・嵐に打ち勝って

工場の屋根に、野原に、ビルディングの窓に

鮮やかな黄色な花を開け！

（獄中から鶴巻盛一宛書簡一九三〇年五月十四日付　『陀田勘助詩集』を底本）