昨日は重い空に湿っぽい風だった。 鋲どめた「五月祭のビラ」の傍に 白い優曇華の花が咲いていたっけ 梅雨時の箒を遁れて咲いていたっけ 首 うなだれてはこみあげる憤怒を 首 うなだれてはこみあげる憤怒を 奴! 首 うなだれてはこみあげる憤怒! 今日は薄縁三畳の檻の中 鉄格子と金網の窓に獅噛みつき ガラス戸の隙間三寸 高い石塀を越えて 黒雲ちぎれ飛ぶ空模様に 凝乎と眼を注ぎ 歯を喰いしばって北叟笑むでる。 (『戦旗』一九二八年十月号に発表 一九三一年一月改造社刊『戦旗三十六人集』を底本)