イリイッチの長靴は十年を歩み続けた！

ボロボロで、デコボコだ、破れかかっている。健康にあふれて、はち切れ相だ

わざと盛り違えた処方箋や、持ち古るされた殺戮によって真赤な血を塗りたくられている

俺達は知ってるんだ！

――イリイッチの赤い長靴を

――その正確な<ruby><rb>跫音</rb><rt>あしおと</rt></ruby>を

――<ruby><rb>襤褸</rb><rt>ぼろ</rt></ruby>っきれに包まれた「健康」を

それこそ――

全ての鞭を堪えて歩む方向ある操作だ

労働者と農民の国の正しい<span data-tei-rend="bouten 傍点 right" style="text-emphasis-style: filled sesame; text-emphasis-position: over right">まなざし</span>だ

戦争の脅威に抗する力学だ

歴史の精密なる計算を担う健康だ

世界の隅々より一切を取上げる闘いだ

赤き金曜日の出発と、サッコ、ヷンセッチに対する糺問を

支那の沸騰と「支那より手を引け！」の合言葉を

ウインの街頭にツリ下げられた官服とサーベルの報告を

正しく歩ませ、訊問し、切り刷く明瞭な導きと勇敢な闘いだ

イリイッチは死んだ！

だが――

黄色なしみったれた雰囲気を押しのけて

十年間歩み続けたイリイッチの長靴を「群集の日」まで歩ませろ！

この歩みに抗する一切の系統を

イバラを積重ねるふやけた脳髄を

戦争を強要する兵隊靴の威喝を

歴史の教科書にまで叩込むんだ！

博物館にまで押し入れるんだ！

赤きイリイッチの長靴の祝祭に

世界の隅と隅と、角と角より

激怒と悲惨と歓喜と号泣を含んだ報告と

それらの報告と報告より盛り上る出発と

隅と隅、角と角との強固な結び附けと

いら立たしい歴史の興奮を

――送るんだ‼

世界の同志よ！

イリイッチの長靴を歩かせろ！

（『プロレタリア芸術』一九二七年十一月号に発表　同年十一月マルクス書房刊『一九二七年プロレタリア詩集』を底本）