愚かなる。
太陽を捕え、朝の日光を、
縄をもって縛しめむとする。
風に乗り、あるはまた、
走る流れに逆らわむとする。
四季を阻みて、降る雨を止めむとする。
空気と戦う心無さよ。
ありとある力を、畢に無にせむ。
かかるに同じく、かかる業より更に愚かなる。
人の言う所を咎め、そを強いて教に適わさんとする。
定めを人の上に立て、
物言うも、そを超えしめぬ。
さなり、人の口を壅がむこと、
吹く風を捕うるよりも難きものを。
愚かなるものよ。
(『近代思想』一九一二年十月創刊号に飄風名で発表)
おろかなるものよ
徳永 保之助
愚かなる。
太陽を捕え、朝の日光を、
縄をもって縛しめむとする。
風に乗り、あるはまた、
走る流れに逆らわむとする。
四季を阻みて、降る雨を止めむとする。
空気と戦う心無さよ。
ありとある力を、畢に無にせむ。
かかるに同じく、かかる業より更に愚かなる。
人の言う所を咎め、そを強いて教に適わさんとする。
定めを人の上に立て、
物言うも、そを超えしめぬ。
さなり、人の口を壅がむこと、
吹く風を捕うるよりも難きものを。
愚かなるものよ。
(『近代思想』一九一二年十月創刊号に飄風名で発表)
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c徳永 保之助「愚かなるものよ」(新字新仮名)、底本『日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)』新日本出版社、1987年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053939_001611, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079