すべては黒く凍つてゐる
さびしくかたまる岩の上に
みじめに歪んだ松の幹に
景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。
この侘しく灰色なる空の下に
私たちの心はまづしく語り 孤獨になやみて重たくよりそふ
少女よ
あの遠い空の雷鳴をあなたは聽くか
かしこの空にひるがへる
浪浪の高いひびきをあなたは聽くか。
過去よ
ながいながい孤獨の影よ
その影を岩にひきずる
冬の日の薄暗い濱邊に立つて
意味のふかい人生を見る。
ちょうぼうする
萩原 朔太郎
すべては黒く凍つてゐる
さびしくかたまる岩の上に
みじめに歪んだ松の幹に
景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。
この侘しく灰色なる空の下に
私たちの心はまづしく語り 孤獨になやみて重たくよりそふ
少女よ
あの遠い空の雷鳴をあなたは聽くか
かしこの空にひるがへる
浪浪の高いひびきをあなたは聽くか。
過去よ
ながいながい孤獨の影よ
その影を岩にひきずる
冬の日の薄暗い濱邊に立つて
意味のふかい人生を見る。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「眺望する」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053646_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079