魚のやうに空氣をもとめて、

よつぱらつて町をあるいてゐる私の足です、

東京市中の掘割から浮びあがるところの足です、

さびしき足、

さびしき足、

よろよろと道に倒れる人足の足、

それよりももつと甚だしくよごれた絶望の足、

あらゆるものをうしなひ、

あらゆる幸福のまぼろしをたづねて、

東京市中を徘徊するよひどれの足、

よごれはてたる病氣の足、

さびしい人格の足、

ひとりものの異性に飢ゑたる足、

よつぱらつて堀ばたをあるく足、

ああ、こころの中になにをもとめんとて、

かくもみづからをはづかしむる日なるか、

よろよろとしてもたるる電信柱、

はげしき<span data-tei-rend="bouten 傍点 right" style="text-emphasis-style: filled sesame; text-emphasis-position: over right">すすりなき</span>をこらへるこころ、

ああ、ながく道路に倒れむとする絶望の足です。