友だちはひどく歪んだ顏をしながら、
虱に向つて話をした。
『虱や、ご生だからたからないでおくれ、
私にしつつこくしないでおくれ、
おまへはほんとに不愉快だ』
そして痒いところへ手をやらうともしなかつた。
この友だちは聖人だ。
ふうし
萩原 朔太郎
友だちはひどく歪んだ顏をしながら、
虱に向つて話をした。
『虱や、ご生だからたからないでおくれ、
私にしつつこくしないでおくれ、
おまへはほんとに不愉快だ』
そして痒いところへ手をやらうともしなかつた。
この友だちは聖人だ。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「諷詩──―人魚詩社の人たちに与ふ―」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053639_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079