三人目の患者は、
いかにもつかれきつた風をして、
べろりと舌をたらした、
お醫者が小鼻をとんがらして、
『氣分はどうです』
『よろしい』
『食物は』
『おいしい』
『それから……』
『それからすべてよろしい』
そして患者は椅子からとびあがつた、
みろ、歪んだ脊髓のへんから、
ひものやうにぶらさがつた、
なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。
そいつは眞赤の殺人者だ。
さんにんめのかんじゃ
萩原 朔太郎
三人目の患者は、
いかにもつかれきつた風をして、
べろりと舌をたらした、
お醫者が小鼻をとんがらして、
『氣分はどうです』
『よろしい』
『食物は』
『おいしい』
『それから……』
『それからすべてよろしい』
そして患者は椅子からとびあがつた、
みろ、歪んだ脊髓のへんから、
ひものやうにぶらさがつた、
なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。
そいつは眞赤の殺人者だ。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「三人目の患者」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053634_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079