いろ青ざめて谷間をはしり、
夕ぐれかけてただひとり、
岩をよぢのぼれるの手は鋼鐵なり、
ときすべて液體空氣の觸覺に、
山山は茜さし、
遠樹に光る、
わが偏狂の銀の魚、
したたるいたみ、
谷間を走りひたばしる、
わが哀傷の岩清水、
そのうすやみのつめたさに、
やぶるるごとく齒をぬらす、
やぶるるごとく齒をぬらす。
いわしみず
萩原 朔太郎
いろ青ざめて谷間をはしり、
夕ぐれかけてただひとり、
岩をよぢのぼれるの手は鋼鐵なり、
ときすべて液體空氣の觸覺に、
山山は茜さし、
遠樹に光る、
わが偏狂の銀の魚、
したたるいたみ、
谷間を走りひたばしる、
わが哀傷の岩清水、
そのうすやみのつめたさに、
やぶるるごとく齒をぬらす、
やぶるるごとく齒をぬらす。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「岩清水」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053624_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079