きびしく凍りて、
指ちぎれむとすれども、
杖は絶頂にするどく光る、
七重の氷雪、
山路ふかみ、
わがともがらは一列に、
いためる心山峽たどる。
しだいに四方を眺むれば、
遠き地平を超え、
黒き眞冬を超えて叫びしんりつす、
ああ聖地靈感の狼ら、
かなしみ切齒なし、
にくしんを研ぎてもとむるものを、
息絶えんとしてかつはしる。
疾走れるものを見るなかれ、
いまともがらは一列に、
手に手に銀の鈴ふりて、
雪ふる空に鳥を薫じ、
涙ぐましき夕餐とはなる。
―一九一四、一〇―
じゅんれいきこう
萩原 朔太郎
きびしく凍りて、
指ちぎれむとすれども、
杖は絶頂にするどく光る、
七重の氷雪、
山路ふかみ、
わがともがらは一列に、
いためる心山峽たどる。
しだいに四方を眺むれば、
遠き地平を超え、
黒き眞冬を超えて叫びしんりつす、
ああ聖地靈感の狼ら、
かなしみ切齒なし、
にくしんを研ぎてもとむるものを、
息絶えんとしてかつはしる。
疾走れるものを見るなかれ、
いまともがらは一列に、
手に手に銀の鈴ふりて、
雪ふる空に鳥を薫じ、
涙ぐましき夕餐とはなる。
―一九一四、一〇―
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「巡礼紀行」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053617_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079