塔は額にきづかる、 螢をもつて窓をあかるくし、 塔はするどく青らみ空に立つ、 ああ我が塔をきづくの額は血みどろ、 肉やぶれいたみふんすゐすれども、 なやましき感傷の塔は光に向ひて伸長す、 いやさらに伸長し、 その愁も青空にとがりたり。 あまりに哀しく、 きのふきみのくちびる吸ひてきずつけ、 かへれば琥珀の石もて魚をかこひ、 かの風景をして水盤に泳がしむるの日、 遠望の魚鳥ゆゑなきに消え、 塔をきづくの額は研がれて、 はや秋は晶玉の死を窓にかけたり。