遠く行く君が手に、
胡弓の箱はおもからむ。
きのふ山より摘みてかへれば、
紫苑はなしぼみて、
すでに秋の愁ひをさそふ。
友よ、
やさしく胡弓を摩り、
遠くよりしも光を送れ。
ああ、わが故郷にあるの日、
終日怒りうゑを感じ、
手を高く蒼天のうへに伸ぶ。
―一九一四、八、十四―
りっしゅう
萩原 朔太郎
遠く行く君が手に、
胡弓の箱はおもからむ。
きのふ山より摘みてかへれば、
紫苑はなしぼみて、
すでに秋の愁ひをさそふ。
友よ、
やさしく胡弓を摩り、
遠くよりしも光を送れ。
ああ、わが故郷にあるの日、
終日怒りうゑを感じ、
手を高く蒼天のうへに伸ぶ。
―一九一四、八、十四―
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「立秋──――大沼竹太郎氏ニ捧グル詩――」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053591_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079